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文化財保護石橋財団アートリサーチセンター

石橋財団アートリサーチセンター(ARC)は、ブリヂストン美術館(現・アーティゾン美術館)の新築工事のための休館の際、作品の移動・保管が必要であることから計画がスタートし、2015年、東京・町田市に竣工しました。
美術館とは別の場所に収蔵庫があることは、災害におけるリスク分散にもつながります。また、ARCは単なる収蔵庫にとどまらず、調査研究をはじめとするさまざまな機能と設備を備えており、アーティゾン美術館と連携して総合的に活動しています。

美術館活動を支える石橋財団アートリサーチセンター

多目的ホール

石橋財団は地域への貢献を大切にしています。1階の多目的ホールでは、周辺の教育機関とも連携し、ラーニングプログラムとして子ども向けワークショップや成人向けの美術講座などを行っています。気軽に腰を下ろすことができる板張りの床と、最大50席の机と椅子を並べられる自由な空間に最新のオーディオビジュアルを備えています。

ワークショップや講座を行う多目的ホール

ライブラリー

2階のライブラリーには石橋財団が所蔵する図書が保管されています。石橋財団コレクションの美術作品の分野に関わるものが中心で、特にフランス印象派や日本近代洋画などに関連する書籍や展覧会カタログが充実しています。所蔵図書は学芸員が調査研究のために活用しているほか、研究者向けに公開もしています(事前予約制)。

約45,000冊の図書・雑誌を所蔵するライブラリー

収蔵庫

石橋財団の所蔵するさまざまな美術作品が収められています。額装された油彩画、古美術や水彩・版画などの紙作品、ブロンズや石などの立体作品と、素材や分野別に仕様の異なる複数の収蔵庫を設けています。それぞれの収蔵庫は空調の性能を高めるために、二重の入れ子構造になっています。

作品の保存に最も適した温湿度を保つ収蔵庫
作品状態調査の様子

修復室

石橋財団の所蔵する美術作品の修復作業を行う場で、修復処置に必要な薬剤や画材、器具などを完備しています。有機溶剤に強い天板の大型テーブルや、作業する手元から揮発性溶剤を吸い取る可動式の排気ダクト、画面の細部を見るための顕微鏡など、美術作品の修復室ならではの機材が揃っています。

作品修復を行う環境と設備を備えた室内

免震構造・太陽光発電・セキュリティ対策

ARCは自然災害や危険から人と建物を守り、継続的な活動ができるよう計画されています。地震被害を最小限に抑えるために免震構造を採用。屋上には太陽光発電システムを設置し、消費電力の一部をまかなっています。また、最新鋭のセキュリティシステムを導入し、火災など不測の事態に対する万全の対策をとっています。

建物を支える免震ゴム
免震用オイルダンパー
屋上の太陽光発電システム

アートリサーチセンター増築について

石橋財団アートリサーチセンターは、将来にわたる収蔵作品の増加を予測し、隣接地に2025年秋の開設を目標として新たな収蔵施設を建設中です。これにより持続可能な作品保存の課題を解決し、また、図書、資料の集約により調査研究を含む継続的な美術館活動のインフラ構築を目指しています。増築部分にも太陽光発電システムを導入して環境への配慮をさらに進めていきます。

完成予想図